雪を歩くための道具の話

写真:左スキーシュー、右上スノーシュー、右下かんじき(ツアーでは使いません)

ホワイトシーズンのツアーですが、リバフィーでは歩く道具を選べるのが特徴です。
「スノーシュー(かんじき)」と「スキーシュー(ストー・毛皮スキー)」
この記事では、ちょっとしたうんちくを交えながら道具の解説をします。

どっちを選べばいいの?
どんな道具なの?
どう違うの?

そんな疑問を少しでも解消していただき
「早く雪の上を歩きた〜い」となっていただければこれ幸いです。
道具は理解して使うとなお楽しい。

スノーシュー

特徴

 誰しもが使いやすい道具。足の裏側には「歯」がついているので斜面もガシガシ登ります。ただし下りも常に歩行です。「歯」が付いているので滑りません。足下に安定感・安心感を求める方はスノーシューがオススメです。

主にMSR社製ATLAS社製を使用しています。どちらも信頼のおける道具です。
この「歯」が雪面に食い付きます。特に硬い斜面で威力を発揮。埋まらないためもそうですが「滑らない」が重要。
慣れてきたら、履いているこが気にならなくなってきます。自由に遊べます。

うんちく

 スノーシューは、雪の上を楽に歩くための道具のひとつ。西洋カンジキ。日本のカンジキよりサイズが大きいため、浮力が大きく、ラッセル能力が高いというメリットもありますが、持ち運ぶ際に嵩張って重いなど、デメリットもあります。日本のカンジキは縄文時代から使われていたようです。アイヌはヤマグワから作ったカンジキを使い、硬い雪用はチンル、軟雪用はテシマと呼び、シカ皮で作った靴といっしょに使いました。

スキーシュー

特徴

 慣れるのには少しコツがいります。でもきっとすぐに慣れます。スノーシューと比べて、足を滑らせながら進むので足が楽。そして長さがあるので(といっても130cm程度と通常のスキーより短い)埋まりにくく歩行がスムーズ。板の走面にはモヘアゴート(ヤギ毛皮)が張ってあるので、後にはスリップせずに前にはスイスイと進み、ある程度の斜面も登ることができます。

 それから最も大きな違いとして滑れること!普通のスキー程のスピードは出ませんが、ちょっとした斜面はスーッと滑ります(気持ちいい!難しい!だからこそ面白い)。 専用の靴は要りません。防寒ブーツに着けられます。 行動距離をのばしたい。下りは滑りってみたい。転んで雪まみれになりたい。そんな方はスキーシューがオススメ。

主にBLUEMORIS社のスキーシューを使用。たまにKARHU社のもの(写真)。性能はほぼ同じです。
これが板の走面(ソール)。毛の方向が均一で逆立っているので後にはスリップせずに、前にはスイスイ進む。

ブルーモリス社の動画がイメージしやすいので貼っております。


うんちく

 スキーシューは、昔から北方系の民族が冬の狩猟用、移動用に使ってきた道具です。 西アジアのアルタイ地方が起源と言われています。北方民族と交流のあった樺太アイヌは、この便利な道具を使って冬の狩猟をしていたようです。「ストー」と呼ばれ、滑走面にアザラシの毛皮を張って滑り止めにしていました。 江戸時代の探検家 間宮林蔵が行った樺太探検を編纂した「北蝦夷図説」に短いスキーに乗って獲物を探し歩いてる様子が描かれています。

「北蝦夷図説」より拝借。他にもこんな記事も↓。19世紀のアイヌもスキーを使いこなしていたのだ!

さいごに。

「雪の上を歩く」という行動。行為。
そもそも何のためなのか。

昔から北方民族が(アイヌもそうですね)

生活のため。狩猟のため。移動のため。

知恵と工夫を凝らし、使っては改善、使っては改善を繰り返してきたはずです。
ここ屈斜路湖でも、昔のアイヌが棒を持って氷の厚さを確かめながら歩いたり
森の中よりも歩きやすい氷った湖の上を歩いて池の湯へ温泉に入りに行っていた。
なんて話も聞いています。

何が言いたいかというと
その文化と歴史の産物、完成形が「現在の道具」というわけです。

そんなふうに想いを馳せながら、道具を使い、歩くことに浪漫があるってもんです。
いかがでしょうか?
使ってみたくなりましたか?雪の上を歩きたくなりましたか?


あぁ、道具を知れば知るほどに冬の森を歩く行為そのものが美しく楽しい。